EPAは体と心の健康を維持しながら、血液サラサラや免疫機能をサポートする必須脂肪酸です。
高濃度のDHA・EPAサプリメントはここ数年、注目を集めています。DHA・EPAサプリメントの補給は、健康を維持する働きがあることで新しいトレンドとなっているのです。
DHA・EPAサプリメントの有効成分として、サラサラ効果が良く知られているEPAにも、さまざまな用途があることをご存知ですか?
今回は、岡本薬剤師がEPAの効果と働きをご紹介します!
EPAとは?

EPAはエイコサペンタエン酸(Eicosapentaenoic acid)の略称で、DHAと同様に多価不飽和脂肪酸に属します。
魚が健康に良いと言われるのは、EPAやDHAを豊富に含むためです。EPAは、健康に欠かせない脂肪酸であり、特に心血管系の健康に重要な役割を果たします。
EPAは、私たちの体にとって不可欠である必須脂肪酸のため、食事から摂取する必要があります。
EPA化学式:C₂₀H₃₀O₂
EPAは医薬品として活用
EPAの抗炎症作用や、血液をサラサラにする働きが、生活習慣病の予防や改善に役立つことが科学的に認められています。
そのため、EPAの効果は製薬会社からも注目され、高脂血症や脂質異常症などの治療薬として医薬品の成分にも使われています。
EPAが多く含まれる食品
EPAを多く含む食品として、アメリカ国立衛生研究所(NIH)はサーモン、サバ、マグロ、ニシン、イワシなどの深海魚を挙げています(2)。
これらの青魚は、日本の食品成分データベースでも多くのEPAを含んでいることが示されております。
順位 |
食品名 |
EPA含有量 100gあたりmg |
1 |
たらのあぶら |
13,000 |
2 |
くじら/本皮/生 |
4,300 |
3 |
あんこう/きも/生 |
3,000 |
4 |
くじら/うねす/生 |
2,200 |
4 |
やつめうなぎ/干しやつめ |
2,200 |
6 |
しろさけ/すじこ |
2,100 |
7 |
たいせいようさば / 生 |
1,800 |
7 |
あゆ/養殖/内臓/焼き |
1,800 |
10 |
しろさけ / イクラ |
1,600 |
10 |
みなみまぐろ/脂身/ 生 |
1,600 |
10 |
たいせいようさば/ 水煮 |
1,600 |
上記の表にあるように、サバ、サンマ、マグロなどの青魚はとくに多くのEPAを含んでいます。
たらのあぶら(13,000mg/100g)は非常に高いEPA含有量があり、次いでくじらの本皮(4,300mg/100g)やあんこうのきも(3,000mg/100g)などがあります。
また、サバやマグロ、イワシなどもEPAを多く含み、日常的に摂取することで健康をサポートします。これらの食品は、特に心血管系の健康に有益とされています。
青魚にもさまざまな種類があるため、EPAの含有量を確認してから摂取するようにしてみてください。
EPAの効果
EPAには、「抗血栓作用」があるため、血液が固まりにくくなる効果があります。
EPAにより、血液をサラサラに保ち、血管の健康を維持することができます。血液がサラサラであることで、動脈硬化や心疾患、脳卒中などのリスクを減少させる可能性があります。
また、EPAは血圧を下げる効果も期待されており、高血圧予防にも役立ちます。また、中性脂肪の値を下げる働きもあるため、心臓や血管にかかる負担を軽減し、健康をサポートする重要な栄養素です。
多くの学者によって特定されている効果は以下のとおりです(3):
EPAの効果1:血液をサラサラ
EPAは血小板の凝集を抑制し血液の粘度を低下させることで、血栓ができるのを防ぐ効果があります。
また、動物実験で、動脈硬化が進んでできた血管内のプラークが破裂するのを防ぐ働きがあることもわかっています。(5)
EPAの効果2:中性脂肪の代謝を促進

DHAやEPAの摂取によって、中性脂肪が下がることが知られています(6)(7)。
また、EPAの摂取によりグリセリドと悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を低下させます。現在、EPAのエステル体は「閉塞性動脈硬化症による潰瘍や痛み、冷感」や「高脂血症」の治療薬として、政府の認可を受け、医療機関で処方されています。
EPAの効果3:抗炎症作用

EPAは抗炎症作用があるため、体内の炎症を抑える働きもあります。
炎症は、体の免疫反応として必要なものですが、慢性的な炎症は生活習慣病や様々な体調不良の原因となることがあります。EPAは、炎症を引き起こす物質の生成を抑え、体内の過剰な炎症を穏やかにする働きがあります。
そのため、EPAは生活習慣病の予防や健康維持に役立つ成分として注目されています。
EPAの効果4:免疫機能を向上

EPAは炎症性サイトカイン(免疫細胞から分泌されるたんぱく質)の生成を抑制することで、過剰な免疫反応を穏やかにする働きがあります。リンパ球や白血球の機能を調節して免疫機能を向上させます。
EPAの効果5:栄養補給

EPAは健康基盤を構築するための重要な役割を果たします。病後の栄養補給、健康な栄養補給をサポートします。
EPAの効果6:良好な気分を保つ

研究によると、EPAは感情をうまくコントロールするのにとても役立つことがわかっています。
実際、EPAを多く含むサプリメントが大人の抑うつ症状にも効果があると報告されています。(8)
EPAの1日の摂取量
EPAは人の体内で合成されないため、魚を食べることで補給する必要があります。
EPAを含むオメガ3脂肪酸の摂取に関して、日本の食事摂取基準(2025年版)では、成人女性は1日に1.7〜1.9g、成人男性は1日に約2.2〜2.3gのオメガ3脂肪酸を摂取することが推奨されています。
一般的な成人が1日に十分な量のオメガ3を摂取するためには、1日にサバを2尾食べなければなりません。
注意すべき点は、すべてのオメガ3脂肪酸にEPAが含まれているわけではないことです。
EPAは生の魚に多く含まれています。しかしながら、食生活の変化に伴い、毎日十分な量の魚を摂取することは簡単ではありません。
適量のDHAとEPAサプリメントにより、健康管理にサポートできるでしょう。
EPAの摂取不足
EPAが十分に摂取できないと、血液や血管の健康に悪影響を与える可能性があります。
例えば、血液の流れが悪くなり、血栓ができやすくなることで、心臓病や脳梗塞のリスクが高まります。また、中性脂肪値が上昇し、動脈硬化が進行する恐れもあります。さらに、免疫機能の低下や炎症の悪化も引き起こすことがあるため、日常的にEPAを十分に摂取することが重要です。
EPAの過剰摂取
一方、EPAを過剰に摂取すると、出血リスクが高まることがあります。特に、血液がサラサラになる作用が強くなりすぎると、出血しやすくなったり、手術時やケガの際に血が止まりにくくなることがあります。
また、過剰な摂取が免疫機能に悪影響を与える可能性があるため、適量を守ることが重要です。
EPAの副作用
一般的に、EPAの安全性が高く、高い忍容性を持っています。
また、EPAには血小板の凝集を抑制する働きがあるため、凝血機能が低下している人や手術を受ける予定のある人、または治療を受ける人は、医師や医療専門家と相談することをお勧めします。
EPAを含むオメガ3系脂肪酸の副作用は一般的に軽度ですが、以下の症状が報告されています。
-
不快な味
-
口臭
-
悪臭を伴う汗
-
頭痛
-
胃腸症状(胸やけ、悪心、下痢)
上記の症状が出た場合は、使用を中止し医師に相談しましょう。
EPAを摂取する際の注意点
EPAを摂取する際のポイントは、以下のような点です:
1. 魚を積極的に摂取する
EPAは主に青魚(いわし、さば、あじなど)に豊富に含まれています。これらの魚を週に数回、バランスよく食べることが推奨されます。
2. 調理注意!EPAは熱に弱い
EPAは加熱によって破壊される可能性があるので注意が必要です。
サンマを中心部温度75度で調理した際のEPAの残存率は、グリル焼きで92%、フライパン焼きで80%、揚げで51%でした。食事からEPAを摂取したい場合は、調理方法に気をつけましょう。
3. 日常的に摂取を心がける
EPAは継続的に摂取することで、健康効果が発揮されます。毎日の食事に取り入れることが大切です。
4. サプリメントを活用する
食事から十分にEPAを摂取できない場合、サプリメントを利用するのも一つの方法です。ただし、摂取量を守り、過剰摂取にならないよう注意しましょう。
5.EPAと薬の飲み合わせが注意する
EPAを含むオメガ3系脂肪酸は、血液をサラサラにする薬との相互作用が認められる場合があります。
相互作用とは、薬と食べ物が影響し合って、薬の効き方や副作用が変わることをさします。
EPAの場合、血液をサラサラにする作用があるため、より出血しやすい状態になってしまう可能性があります。
血液をサラサラにする薬を服用している場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。
6.アレルギーの可能性
魚介類アレルギーがある方がサプリメントを摂った際の安全性は明らかになっていないため、EPAを含むサプリメントを服用する前は、医師や薬剤師に相談することをおすすめします。
EPAの効果はいつから実感できる?
EPAの効果を実感するためには、継続的に十分な量を摂ることが大切です。
複数の研究論文によると、1日あたり1,000mg以上のEPAを12週間以上継続的に摂取することで、健康への良い変化が見られ始めると報告されています。
実際に、一般の方を対象とした研究では、この用量と期間の摂取で血中脂質の改善が示されています。また、メタボリックシンドロームの患者を対象とした研究でも、同様の摂取量で血管機能の改善が確認されています。(9)(10)
短期間での効果を期待するのではなく、日々の食事やサプリメントでEPAを継続的に補給し、心血管や血液をはじめ、全身の健康維持に役立てましょう。
EPAサプリの選び方

高濃度のEPAサプリメントを市販で見かけることはそれほど多くありません。
EPAを選ぶときは、次の2つのポイントを押さえましょう。
1. 高濃度EPAサプリを選択する
EPAの有効成分だけを十分な量、高品質で摂取できます。高濃度サプリなら、わずか数粒で十分なEPAを効率よく摂取できます。健康に不可欠な成分だけを、質の高い状態で補給することが可能です。
2. 第三者の公正な検査機関による検査があるか確認する
定期的にフタル酸エステル、重金属などを検査することにより、毎日の摂取がより安心できるようになります。
どのような人がEPAの補給が必要?
EPAは、次のような人におすすめです。
- トリグリセリドやコレステロールの値が気になる人
- 血液循環を改善してサラサラを保ちたい人
魚油に含まれているEPAは、基本的にどのような人が摂取しても問題ありません。
ただし、EPAには血液をサラサラにする効果があるため、出血しやすい人は摂取量に気をつけたほうが良いケースもあります。
サプリメントはEPAの含有量が多いものもあるため、治療中の病気がある人は医師に相談してから摂取するようにしましょう。
ストレスの多い生活を送っている人、新陳代謝を促進したい人、気持ちを前向きにしたい人、心のケアをしたい人は、EPAを意識して摂取するようにしてみてください。