脂質は3大栄養素の一つで、体の中で重要なエネルギー源です。
ところが、適正量を超えて摂取し続けると、肥満や生活習慣病につながる可能性があるため、ダイエットや脂質制限に取り組む際は、中性脂肪やコレステロールの摂取を抑える必要があります。
今回は脂質制限、ダイエットに取り組む方向けに、脂質の少ない食べ物をカテゴリー別に紹介し、日常の食事にぜひ取り入れていただければ幸いです。
脂質とは
脂質は1g当たり9kcalと、同じ3大栄養素の炭水化物、たんぱく質よりも高いエネルギーを持ちます。(炭水化物とたんぱく質は1g当たり4kcal)
また、過剰摂取によって、血中LDLコレステロールや中性脂肪の増加、飽和脂肪酸及びトランス脂肪酸の摂取増加につながり、生活習慣病や循環器疾患のリスクを高める可能性があります。(1)そのため、摂り方には注意が必要です。
脂質の種類と働き
体内ではホルモンや細胞膜、核膜の構成成分となり、皮下脂肪として臓器を保護する役割も持つ脂質。大きくは飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられます。
飽和脂肪酸は生活習慣病との関連が深く、心筋梗塞などの循環器疾患および、脂質異常症を引き起こす要因になります。
(2)牛脂やラード(豚の脂肪)、バターなどの動物性油脂に含まれ、これらも重要なエネルギー源ではありますが、生活習慣病予防と重症化予防の観点から、摂取制限の有効性が示されています。(3)
不飽和脂肪酸は一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分けられ、多価不飽和脂肪酸は体内で合成できない必須脂肪酸です。
青魚や亜麻仁油、えごま油などに含まれ、飽和脂肪酸と置き換えた場合に、HDLコレステロールをわずかに上昇させ、中性脂肪を下げる効果が認められています。(3)
また、不飽和脂肪酸の一つトランス脂肪酸においては、工業的に水素添加を行い、液状の不飽和脂肪酸を個体の飽和脂肪酸に変えるときに生じる脂肪酸です。(3)
精製した油脂製品に多く含まれ、マーガリンやファットスプレッド、ショートニングおよび、これらを原材料としたパンやケーキ、ドーナツ、揚げ物などの食品に含まれます。(4)
 
脂質の少ない食べ物の選び方
脂質が少ない食べ物を選ぶ際は、以下の3点に注目してみましょう。
- 
	肉を選ぶ際は、脂肪の少ない赤身を選ぶ 
- 
	野菜と果物を多く食べる 
- 
	多価不飽和脂肪酸のオメガ3脂肪酸を含む青魚を摂取する 
前述の通り、牛や豚の脂肪には飽和脂肪酸を多く含みます。そのため、脂質制限中の食事では使う部位を考慮し、脂質が少ない赤身肉を選びましょう。
野菜や果物は脂質をほとんど含まず(一部を除いて)、脂質の代謝を助けるビタミンを多く含みます。(5)
青魚に関しては不飽和脂肪酸のオメガ3脂肪酸を多く含み、中性脂肪を抑える働きを持つため、特別な指示がない場合は積極的な摂取をおすすめします。
肉:脂質の少ない食べ物のTop 10
 
| 順位 | 種類 | 100g当たりの | 
| 1 | くじら 肉 赤身 生 | 0.4 | 
| 2 | にわとり なんこつ(胸肉) 生 | 0.4 | 
| 3 | かえる 肉 生 | 0.4 | 
| 4 | しちめんちょう 肉 皮なし 生 | 0.7 | 
| 5 | にわとり 若どり ささみ 生 | 0.8 | 
| 6 | うし 子牛肉 リブロース 皮下脂肪なし 生 | 0.9 | 
| 7 | きじ 肉 皮なし 生 | 1.1 | 
| 8 | にわとり 親 ささみ 生 | 1.1 | 
| 9 | にわとり 若どり ささみ焼き | 1.4 | 
| 10 | しか あかしか 赤身 生 | 1.5 | 
表によると、くじらの赤身や皮なしの鶏肉、ささみなどがランクインしています。身近な食材を例にとると、豚のヒレや鶏むね肉などもおすすめです。
肉類で脂質を抑えたい場合は、脂身の少ない肉を選ぶ、鶏肉は皮をとって使うようにしましょう。
魚介類:脂質の少ない食べ物のTop 10
 
| 順位 | 種類 | 100g当たりの | 
| 1 | 魚類 キングクリップ 生 | 0.1 | 
| 2 | たら類 まだら 塩だら | 0.1 | 
| 3 | くらげ 塩蔵 塩抜き | 0.1 | 
| 4 | 魚類 あんこう 生 | 0.2 | 
| 5 | 魚類 おこぜ 生 | 0.2 | 
| 6 | かじき類 くろかじき 生 | 0.2 | 
| 7 | 魚類 きす 生 | 0.2 | 
| 8 | たら類 すけとうだら すり身 | 0.2 | 
| 9 | たら類 まだら 生 | 0.2 | 
| 10 | たら類 まだら 焼き | 0.2 | 
表を見ると、たらやあんこう、おこぜ、きすなどの淡白な白身魚が多いです。
このあとの順位では、つぶ貝やいか、たこ、えびなどが続き、貝類や甲殻類も脂質が少ない食材であることが分かります。
野菜:脂質の少ない食べ物のTop 10
 
| 種類 | 100g当たりの | 
| アーティチョーク 花らい ゆで | 0.1 | 
| あしたば 茎葉 生 | 0.1 | 
| アスパラガス 若茎 ゆで | 0.1 | 
| アスパラガス 水煮缶詰 | 0.1 | 
| アロエ 葉 生 | 0.1 | 
| いんげんまめ さやいんげん 若ざや 生 | 0.1 | 
| うど 茎 生 | 0.1 | 
| やまうど 茎 生 | 0.1 | 
| スナップえんどう 若ざや 生 | 0.1 | 
| おかひじき 茎葉 ゆで | 0.1 | 
表をみると、緑色の野菜が多い印象ですが、生の状態の野菜はほとんどの脂質が1g未満。油で炒めることで、脂質量が増加します。
 
果物類:脂質の少ない食べ物のTop 10
| 種類 | 可食部 | 
| あけび 果肉 生 | 0.1 | 
| アセロラ 酸味種 生 | 0.1 | 
| アセロラ 甘味種 生 | 0.1 | 
| いちご 生 | 0.1 | 
| いちじく 生 | 0.1 | 
| かき 渋抜きがき 生 | 0.1 | 
| かりん 生 | 0.1 | 
| かんきつ類 いよかん 砂じょう 生 | 0.1 | 
| うんしゅうみかん じょうのう 早生 生 | 0.1 | 
| うんしゅうみかん じょうのう 普通 生 | 0.1 | 
果物類に関しても野菜と同様、そのほとんどが脂質1g未満。(ジャム・缶詰は除く)
ただし、ドリアンやアボカドは100g当たりの脂質が3.3g、17.5gと多く含まれているため、脂質制限中は注意しましょう。
 
主食:脂質の少ない食べ物のTop 10
| 種類 | 可食部 | 
| こめ 水稲めし 精白米 うるち米 | 0.3 | 
| こめ 陸稲めし 精白米 | 0.3 | 
| こむぎ うどん ゆで | 0.4 | 
| そうめん・ひやむぎ ゆで | 0.4 | 
| こめ 精白米 インディカ米 | 0.4 | 
| おおむぎ 押麦 めし | 0.5 | 
| こむぎ プレミックス粉 天ぷら用 バッター | 0.5 | 
| 干しうどん ゆで | 0.5 | 
| 干し中華麺 ゆで | 0.5 | 
| こめ 水稲めし 七分つき米 | 0.5 | 
表をみると、米を中心にランクインしているのがわかります。
原材料が小麦のうどんやひやむぎはゆでの状態なので、食べすぎには注意。また、いも類では里芋やじゃがいも、さつまいもなどの脂質量は、いずれも1g未満となっています。
まとめると、脂質制限中におすすめの食品(一例)は、以下の通りです。
- 
	野菜類 
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	きのこ類 
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	鶏肉(皮なし) 
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	果物類 
- 
	貝やいか、たこ、甲殻類(えびやあさりなど) 
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	ご飯や麺などの炭水化物 
これを上手に取り入れながら、脂質制限やダイエット食の参考にしてください。
 
脂質制限の方に避けるべき脂質の高い食べ物のTop 10
今回は、100g当たりの脂質量と生活習慣病との関連が深い、飽和脂肪酸を含む食材をピックアップしてみました。ぜひチェックしてみてください。
| 順位 | 種類 | 100g当たりの | 100g当たりの | 
| 1 | 油脂類 ショートニング 業務用 製菓 | 99.9 | 51.13 | 
| 2 | 油脂類 発酵バター 有塩バター | 80 | 50.56 | 
| 3 | 油脂類 動物性油脂 牛脂 | 99.8 | 41.05 | 
| 4 | 油脂類 動物性油脂 ラード | 100 | 39.29 | 
| 5 | 油脂類 マーガリン 家庭用 有塩 | 83.1 | 23.04 | 
| 6 | 菓子類 ホワイトチョコレート | 39.5 | 22.87 | 
| 7 | 油脂類 ファットスプレッド | 69.1 | 20.4 | 
| 8 | 菓子類 ミルクチョコレート | 34.1 | 19.88 | 
| 9 | うし 和牛肉 リブロース 脂身付き 生 | 56.5 | 19.81 | 
| 10 | チーズ類 プロセスチーズ | 26 | 16 | 
ランキングを見ると、1位から5位までは油脂類が独占しています。
ショートニングに関しては、市販の焼菓子や揚げ物、冷凍食品のチャーハンやパスタなどの幅広い食品に使われています。ホワイトチョコレートはカカオバターと砂糖、乳製品などが使われており、脂質は多くなります。
肉類はやはり牛や豚の脂身が高順位でした。チーズは乳脂肪を多く含むため、量と頻度を考えて食べましょう。
ほかにも、今回ランキングからは除外した、ヤシ油やパーム核油も飽和脂肪酸を豊富に含む油脂です。
食用ではラクトアイスやホイップクリーム、コーヒークリーム、チョコレートなどに含まれています。
このように脂質を含む食材は意外と身近にあるため、脂質制限中やダイエット中の方は、これらの食品をできるだけ避け、パッケージに記載されている栄養成分表示もぜひ参考にしてみてください。
 
1日の脂質の摂取目安量
脂質制限時に控えるべき食材がわかったところで、ここからは1日の脂質摂取の目安について解説します。
エネルギー産生栄養素の1つである脂質は、一日の総エネルギー摂取量の20〜30%に抑えるのが望ましいとされています。(健常な場合)
しかし、一日の総エネルギー摂取量は人によって異なるため、脂質制限を行う場合は、一日の推定エネルギー必要量(kcal/日)を算出する必要があります。
基礎代謝量(kcal/日)×身体活動レベルで算出可能で、例えば、30歳〜49歳の男性・女性で身体活動レベルが普通(Ⅱ)の場合、推定エネルギー必要量はそれぞれ2,700kcal(男性)、2,050kcal(女性)となります。
一日の摂取エネルギー量がこの値だと仮定すると、脂質の摂取目標量は20〜30%のため、カロリーベースで540〜810(kcal)となり、脂質量に換算すると60〜90g。
男性の場合は60g以内の脂質量、女性の場合は約45gの脂質量が目安です。
これを食品に換算すると、とんかつ1枚(150g)で約54g、サンマの塩焼き1尾(150g)で約34gとなり、油断すると簡単に目安量を超えてしまうので注意しましょう。
また、脂質制限中の方は、摂取量を20%以内に抑えるのがよいと言われています。
この場合は、食品中に含まれる「見えない脂質」にも注目し、意識的に脂質の少ない食品を選んでいく必要があります。
 
見えない脂質がある食品は?
「見えない脂質」が隠れている食品の例は、以下の通りです。
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	チーズや生クリーム(またはそれらを含む食品) 
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	マーガリンやバター(またはそれらを含む食品) 
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	インスタント食品 
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	ファーストフード 
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	ナッツ類 など 
ナッツ類を挙げたのは少し意外かもしれませんが、ビタミンやミネラルも含む魅力的な食材ではある半面、飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸をバランスよく含み、脂質制限中には摂り方に注意が必要な食材です。
また、最近では低脂肪牛乳など、低脂肪に配慮した食品も多数見られます。
適度に取り入れながら、健康的な食生活を目指していきましょう。
脂質制限中、ダイエットに取り組む際は脂質が多い食品、少ない食品を知ることから始まります。
市販のスナック菓子やインスタント食品は摂取を控え、脂身の多い肉、チーズやクリームなどの乳製品、ナッツ類は摂り方に注意しましょう。
また、健康維持が気になる場合は、脂質の種類に注目し、青魚や魚油製品、亜麻仁油などの不飽和脂肪酸に置き換えてみてください。これからの食生活が有意義なものとなりますように。
 
 
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