栄養素 - 脂質

オメガ3サプリは効果なし?オメガ3脂肪酸の効果を引き出すための食べ方と選び方

監修者 ダイケンバイオメディカル 公開日:2024-11-06 最終更新日:2025-01-17

栄養素 - 脂質

オメガ3サプリは効果なし?オメガ3脂肪酸の効果を引き出すための食べ方と選び方

監修者ダイケンバイオメディカル 公開日:2024-11-06 最終更新日:2025-01-17

オメガ3脂肪酸は、心疾患や脳卒中のリスクを低下させるなど、脳や心血管の健康に良い影響を与えると考えられており、さまざまなサプリメントに配合されています。

主に、魚油や海産物に含まれることが知られているオメガ3脂肪酸ですが、オメガ3脂肪酸を配合したサプリメントでも天然のオメガ3脂肪酸と同じ効果を得ることができるのでしょうか?

この記事では、オメガ3サプリメントの効果や、効果を最大限に引き出すためのサプリメントの選び方についてくわしく解説しています。

 

オメガ3脂肪酸の基本

オメガ3脂肪酸は、人の体にとって欠かすことのできない重要な脂肪酸ですが、体内で合成できないため、食事からの摂取が必要な「必須脂肪酸」に位置付けられています。オメガ3脂肪酸には、次の3種類があります。(1)(2)(3)(4)(5)

 

DHA(ドコサヘキサエン酸)

DHAは魚類や甲殻類に含まれており、脳の発達や機能の維持に関係していると考えられています。

認知症の予防や視力低下の予防、動脈硬化の予防効果も期待されています。クロマグロの脂身、スジコ、ブリ、サバなどに多く含まれています。
 

EPA(エイコサペンタエン酸)

EPAはDHAと同じく、魚類や甲殻類に多く含まれており、血栓の予防、抗炎症作用、高血圧の予防などの効果が期待されています。マイワシ、クロマグロの脂身、サバ、ブリなどに多く含まれています。
 

ALA(α-リノレン酸)

α-リノレン酸はDHAやEPAとは異なる種類のオメガ3脂肪酸で、植物油(亜麻仁油、大豆油、キャノーラ油など)や植物由来の食物(チアシード、黒くるみなど)に含まれています。

α-リノレン酸は体内でEPA、DHAと変化しますが、α-リノレン酸からEPAは0.1~21%、EPA からDHAは0.1~9%程度と、人での変換率は低いことから、DHAやEPAを摂取することをおすすめしています。

 
オメガ3脂肪酸の効果を徹底解説

オメガ3とは、油脂のメイン成分である「脂肪酸」の「不飽和脂肪酸」の一種です。

オメガ3脂肪酸は、私たちヒトが体内で生成することができない重要な栄養素であるため、食事から摂取する必要のある「必須脂肪酸」の1つです。

EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)、ALA(α-リノレン酸)が含まれています。

参考:オメガ3とは?オメガ3脂肪酸の8つ効果一覧【医師監修】
DHAとEAPを多く摂取したいならフィッシュオイル
フィッシュオイルには、オメガ3脂肪酸(n-3系脂肪酸)が含まれており、そしてオメガ3脂肪酸であるEPAとDHAという成分も多いです。

また、オメガ3脂肪酸(DHA,EPA)は必須脂肪酸で、お体の健康に対して不可欠な栄養素です。
フィッシュオイルの効果は?フィッシュオイルからオメガ3脂肪酸を摂取できる?飲む理由とおすすめの1日摂取量を解説
   

オメガ3脂肪酸の健康効果

オメガ3脂肪酸には、さまざまな健康効果があることが明らかになっています。オメガ3脂肪酸によってもたらされる健康効果には、以下のようなものが挙げられます。(3)(4)(6)(7)(8)(9)(10)(11)

 

心血管系の疾患のリスクを低下させる

EPAやDHAには血液を固まりにくく、サラサラにする働きがあります。ある研究では、EPAやDHAの摂取量が最も多かったグループ(2.1g/日)は、最も摂取量が少なかったグループ(0.3g/日)と比較し、約40%も虚血性心疾患のリスクが低下したことが報告されています。

EPAやDHAが、動脈硬化を予防し、心血管系の疾患(虚血性心疾患、心筋梗塞など)のリスクを低下させる効果が期待できるといわれています。

 

脳の発達や機能の維持、認知機能の低下を予防する

DHAは神経組織の重要な構成脂質で、胎児の脳の発達にも欠かすことのできない脂肪酸であることが明らかになっています。

EPAやDHAは認知機能の低下や認知症の予防に対する効果も期待されており、研究が進められています。

 

炎症を抑える作用がある

EPAやDHAには炎症を抑える作用があるため、炎症性の疾患(関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、クローン病など)や慢性的な炎症の改善が期待できるとする見解もあります。

EPAの抗炎症作用に関する研究も進められており、炎症性疾患の痛みに対する医薬品への応用も期待されています。

 

精神的な健康のサポートが期待できる

DHAやEPAがうつ病の予防に対して有効であるとする海外の報告があり、メンタルヘルス面でのサポートが期待できるとして日本でも注目されています。

 

オメガ3脂肪酸サプリの効果がない?と言われる3つの理由

オメガ3脂肪酸を含むサプリメントの効果について、一部では期待される効果が得られないのではないかと疑問視される声もあります。その理由としては、以下のような要因が考えられます。(7)

 

1. 摂取量の不足

オメガ3脂肪酸の摂取量が必要な量に達していないと、オメガ3脂肪酸サプリメントの効果が十分に発揮されず、効果を実感できない場合があります。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によると、オメガ3脂肪酸の1日の摂取目安量は成人男性で2.2〜2.3g、成人女性で1.7〜2.0gと算定されています。妊娠中の方は1.7g、授乳中の方は1.7gがおすすめされています。オメガ3脂肪酸をサプリメントで補う場合は、これらの摂取量を目安に摂取するよう意識するとよいでしょう。

また、サプリメントなどの健康食品は継続的に摂取することで効果を実感しやすくなります。

少なくとも4ヶ月以上は摂取することをおすすめしています。ご自身のライフスタイルに合った方法で、継続的にサプリメントを使用するようにしましょう。

 

2. サプリメントの品質や成分の違い

オメガ3脂肪酸の健康に与える影響が注目されていることから、現在では、さまざまなオメガ3脂肪酸を含むサプリメントが販売されています。

そのため、オメガ3脂肪酸濃度が低かったり、不純物が多く含まれていたりするなど、サプリメントによって品質が異なることが考えられます

DHAやEPAの含有量が低い製品や不純物が多く含まれる製品、酸化を防止するような工夫が不十分な製品では、十分にオメガ3脂肪酸の効果を得られない可能性があります。

 

3. 体質や生活習慣による個人差

個人の体質や生活習慣により、オメガ3の効果の感じ方が異なる場合があります。

普段から暴飲暴食など乱れた食生活をされている方や運動不足の方などは、サプリメントの効果を十分に実感しにくいことが考えられます。

 
オメガ3サプリメントの選び方
オメガ3サプリメントの選ぶ基準は:オメガ3脂肪酸の濃度、新鮮さ、含有量(目的に合わせDHAとEPAの含有量)
参考:DHA・EPAサプリ効果なしの5つ原因は?効果を実感できない原因を薬剤師がご説明
 

オメガ3サプリメントの選び方

オメガ3サプリメントの効果を十分に引き出すためには、品質の高い製品を選ぶことが重要です。

オメガ3サプリメントの選び方には、以下のようなポイントが挙げられます。(7)(12)(13)

 

オメガ3脂肪酸濃度80%以上の高濃度サプリメントを選ぶ

DHAとEPAはオメガ3脂肪酸に属します。DHAとEPAが高濃度であるほど、1粒のサプリメントに含まれるDHAとEPAの有効成分の割合が高く、効率良くオメガ3脂肪酸を摂取できると考えられます。

DHAやEPA、オメガ3が低濃度のサプリメントでは、DHAやEPA以外の余計な油分や成分が相対的に多く含まれていると考えられ、体に負担がかかることや十分な効果が得られない可能性があります。

そのため、EPAとDHAの濃度が80%以上のサプリメントを選ぶことをおすすめします

 

DHA・EPAの含有量を確認しましょう

先述の通り、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」で算定されたオメガ3脂肪酸の摂取目安量から考えると、サプリメントでDHAやEPAを補う場合、1日あたり約900~1,000mgのDHAとEPAの合計量が含まれている製品を選ぶのがおすすめです。

サプリメントを選ぶ場合には、DHAやEPAの含有量を確認するようにしましょう。

 

オメガ3脂肪酸以外の配合成分にも注目しましょう

DHAやEPAのサプリメントには、ビタミンDが配合されている場合があります。ビタミンDは骨の健康をサポートするほか、免疫機能を強化するためにに重要な栄養素です。

オメガ3脂肪酸などの脂質はビタミンDの吸収を助ける作用があり、一緒に摂取することでビタミンDの健康効果も効率良く得られるため、おすすめです。

 

認証マークがあるものを選ぶ

オメガ3サプリメントを選ぶ場合には、第三者機関の品質認証を受けている製品を選ぶと安心です。「GMPマーク」や「IFOS認証」を取得している製品は、品質や安全性が保証されており、より信頼性が高いサプリメントであるといえます。

 

まとめ

オメガ3脂肪酸は心血管系の健康維持、脳の発達や機能向上など、健康的な生活にとって欠かせない重要な脂肪酸です。

オメガ3脂肪酸のもつ健康効果の注目度は高く、現在ではさまざまなオメガ3脂肪酸を含むサプリメントが販売されています。

しっかりとオメガ3脂肪酸の効果を実感するためには、品質の良いサプリメントを選ぶことが重要です。毎日のバランスの良い食事に加え、サプリメントなどで不足しがちなオメガ3脂肪酸を補い、より健康的な生活を送るようにしましょう。

参考資料:
  1. 厚生労働省 e-ヘルスネット 不飽和脂肪酸
  2. 農林水産省 脂質による健康影響
  3. 厚生労働省 eJIM オメガ3系脂肪酸
  4. 農林水産省 特集1 だから、お魚を食べよう!(1)
  5. 一般社団法人 日本植物油協会 第29回 植物油栄養懇話会 エゴマ油の脳機能に及ぼす影響-ヒト介入試験成果からエゴマ油は畑の魚油(DHA・EPA)になり得るか?
  6. 国立研究開発法人 国立がん研究センター 魚・n-3脂肪酸摂取と虚血性心疾患発症との関連について
  7. 厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書
  8. Nutr Rev. 2022 May 9;80(6):1445-1458. Fish intake, n-3 fatty acid body status, and risk of cognitive decline: a systematic review and a dose-response meta-analysis of observational and experimental studies
  9. 東邦大学 ドコサヘキサエン酸(DHA)とエイコサペンタエン酸(EPA)は下部消化管平滑筋の収縮反応を抑制する ~ DHA、EPAは電位依存性Ca2+チャネルに依存した収縮反応を抑制する ~
  10. 岡山大学 魚油や亜麻仁油に含まれるオメガ 3 系多価不飽和脂肪酸のエイコサペンタエン酸が痛みに効く分子メカニズムを解明 ~慢性痛の新規医薬品の開発に期待~
  11. 国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター 魚の栄養と気分の落ち込み【うつ予防】
  12. Certifications by Nutrasource IFOS
  13. 公益財団法人 日本健康・栄養食品協会 GMPマークを目印に健康食品を選びましょう!