栄養素 - 脂質

DHAの効果は?頭から全身までのDHAの予防・改善効果

監修者 佐藤 浩樹 医師 公開日:2024-10-11 最終更新日:2025-01-20

栄養素 - 脂質

DHAの効果は?頭から全身までのDHAの予防・改善効果

監修者佐藤 浩樹 医師 公開日:2024-10-11 最終更新日:2025-01-20

DHAにはどのような効果があるのか、気になる方は多いのではないでしょうか。

DHAはおもに魚に含まれている栄養素で、脳や目などの健康をサポートするとされています。そのため、身体の健康を維持したい方は、積極的なDHAの摂取がおすすめです。

この記事では、DHAの主な効果や健康上のメリットなどについて詳しくご紹介します。DHAによるメリットを正しく理解することで、より効果的に健康維持に役立てられるでしょう。

DHA(ドコサヘキサエン酸)とは?

オメガ3脂肪酸:DHA

DHA(ドコサヘキサエン酸)とは、私達の身体に欠かせない「必須脂肪酸」の1つで「不飽和脂肪酸」に属します。

不飽和脂肪酸は体内で合成ができないため、食べ物から摂取する必要があります。DHAは「オメガ3脂肪酸(n-3系脂肪酸)」と呼ばれる種類に分類されており、おもに魚に多く含まれています。

DHAは脳や目などのさまざまな場所に含まれており、胎児の脳の発達から、認知機能の維持や血流の改善まで、身体の健康にとって重要な役割を果たしているのです(1)

日々の食事やDHAサプリメントを通じてDHAを適切に摂取することで、全身の健康維持に役立てられます。

 

DHAの健康効果

実際に、DHAは身体にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは具体的な効果について詳しく解説します。

 

胎児と子どもの脳の発育

DHAは、胎児や子どもの脳の発育に好影響を与えるとされています。約82,000人の妊婦とその子どもの発達度合いを調査したところ、DHAを多く含む魚を食べる量が多いほど、発達が良好であることが示されています。

とくに「細かい運動」と「問題の解決能力」において、発達が遅れる子どもが少ないという結果が得られています(3)

また、DHAの摂取によって出生体重の増加や、早産の減少がみられたという報告もあります(4)

このように、妊娠中や授乳中の母親、そして成長期の子どもにとって、DHAの十分な摂取は重要といえるでしょう。

 

記憶力と認知能力の改善

DHAは、記憶力と認知能力の維持をサポートすることが、多くの研究で示されています。実際に、DHAの摂取によって加齢による認知機能低下の予防につながるとされています。

また、記憶を司っている「海馬」と呼ばれる脳内の組織に作用し、記憶力の維持・改善に関与するとされています(5)(6)

DHAは脳内の神経伝達を促進する作用や、細胞の保護などの役割があるとされています(13)

そのため、そのような作用が記憶力や認知能力の改善に寄与していると考えられています。

ただし、DHAの効果は個人差が大きく、どのような方でも作用が現れるわけではない点に注意しましょう。

DHAは脳の重要な成分
DHAは脳にある不飽和脂肪酸の約60%を占めているとされています。また、脳の発達や維持にも重要な役割を果たしており、とくに胎児期から幼児期の脳の成長に不可欠とされています。
参考:DHA(ドコサヘキサエン酸)の働きと効果の完全ガイド
DHAの脳機能、記憶力、認知機能の向上効果をエビデンスに基づいて解説
 

目のケア

DHAは脳だけでなく、目の健康維持にもつながります。ドライアイの方に対して、オメガ3脂肪酸(n-3系脂肪酸)が含まれているサプリメントを使用したところ、症状の改善がみられたという報告があります(7)

さらに、オメガ3脂肪酸の摂取によって花粉症による目の不快感への対策としても注目されているのです。

これらはDHAに備わっている、抗炎症作用や目の機能の安定作用によって起こるとされています。

普段からドライアイや目のかゆみなどに悩まされている方は、DHAの積極的な摂取を検討してみましょう。

 

集中力の維持

DHAには、集中力の維持をサポートする可能性があります。これは、DHAによる神経細胞の活性化や、抗炎症作用などによるものとされているのです。

実際に、軽度の認知症の高齢者に対してオメガ3脂肪酸(n-3系脂肪酸)を摂取したところ、記憶力だけでなく集中力の改善がみられたという報告があります(8)

日々の食事やサプリメントでDHAを意識的に摂取すれば、仕事や勉強などでより高いパフォーマンスを発揮できる可能性があります。

 

血流改善

DHAには血流を改善する効果があるとされており、これによりさまざまな健康上のメリットが期待できます。

具体的に、DHAは血中の中性脂肪やコレステロールバランスの維持をサポートするとされています(9)。中性脂肪の増加は血液がドロドロとなり、血流が悪くなる原因の1つです。DHAを摂取することで、中性脂肪やコレステロールが減少し、血流状態の改善につながるのです。

このように、DHAは脳や眼に対して効果があるだけでなく、血管の状態に対してもよい影響が出る可能性があります。

動脈硬化や高血圧などの血管に関する疾患を予防するためにも、DHAを意識的に摂取しましょう。

 

抗炎症作用

DHAには抗炎症作用があるとされており、これによりさまざまな炎症性疾患のリスク軽減につながります。

実際に、DHAをはじめとしたオメガ3脂肪酸(n-3系脂肪酸)の摂取によって、潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性の病気の改善が報告されています(10)

このDHAの抗炎症作用によって、炎症性疾患の発症抑制だけでなく、長期的な健康維持にも重要な役割を果たしているのです。

日常的にDHAを含む食べ物を摂取することで、健康的な生活をサポートできるでしょう。

 

DHAの推奨摂取量

DHAの推奨摂取量は、年齢や性別によって異なります。DHAを含めたオメガ3脂肪酸(n-3系脂肪酸)の摂取量の目安は、以下のとおりです(11)

  • 子ども(1〜2歳・男女):約0.7g/日

  • 成人男性:約2.2~2.3g/日

  • 成人女性:1.7〜2.0g/日

  • 妊婦:約1.7g/日

 例として、マグロの刺身4切れ(約60g)でDHAの量は約2g、サバの味噌煮(80g)1人分でDHAの量は約0.5gとされています。

 

DHAを摂り入れる際は、これらの摂取量を意識しておきましょう。
 

DHAのおすすめ摂取方法

DHAを効果的に摂取するには、おもに食事からの摂取とサプリメントの利用の2つの方法があります。

食事からのDHA摂取源としておすすめなのが、マグロやサバなどの魚介類です。先ほどの例で解説したように、魚介類には多くのDHAが含まれているため、意識的に食卓に取り入れるとよいでしょう。一方で、サプリメントによるDHAの摂取も選択肢の1つです。

食事からのDHA摂取源:青魚の種類は?青魚の栄養素とメリットをご紹介

 

サプリメントのメリットは、魚を食べる機会が少ない方や、苦手な方でも手軽にDHAを摂取できる点です。

また、サプリメントは含有量が明確なため、必要な量を正確に摂取できます。

ただし、DHAサプリメントを選ぶ際は、DHAの含有量、濃度や品質(酸化、精製方法など)に注意しましょう。

 

過剰摂取は心房細動という不整脈の発症リスクにもつながるので、推奨量を守った摂取を心がけてください(12)
 

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日々の生活におけるDHA摂取の重要性を知っておこう

DHAは脳の発達や認知機能の向上、目の健康維持など、幅広い効果が期待できる栄養素です。

とくに胎児や子どもの脳の発育に欠かせないため、妊婦や子育て中の方は意識的に摂取することが大切です。また記憶力や集中力の改善、血流改善、抗炎症作用など、成人にとってもメリットが多いといえます。DHAを摂取するためには、魚介類を積極的に食べるほか、DHAサプリメントの利用もおすすめです。

ぜひこの記事を参考に、DHAを摂取して毎日の健康作りに役立ててみましょう。