DHA・EPAサプリメントを選ぶ際に、DHAとEPAの含有量だけをチェックして購入でしょう?しかし、DHAとEPAの含有量だけではなく、DHAとEPAの由来であるフィッシュオイルの安全性も大切なことです。本記事では、DHAとEPA健康食品の選び方と消費者がよく見落した、フィッシュオイルの安全性について紹介します。
フィッシュオイルの品質を判断するには成分、汚染物質、新鮮さなどの観点からアプローチすることができます。
DHAとEPAの基本
必須脂肪酸であるオメガ3脂肪酸にはDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(イコサペンタエン酸)、ALA(α-リノレン酸)とDPA(ドコサペンタエン酸)が含まれています。また、オメガ3脂肪酸には主にDHAとEPAがオメガ3脂肪酸は人に対して重要な役割を持ちますが、人は体内合成できないため、食事から摂取しなければいけません。
サバやマグロなどの青魚の脂に豊富なオメガ3脂肪酸があり、そして主にDHAとEPAが含まれているため、市販のDHAとEPAの原材料は、ほとんど魚由来です。微細藻類由来である植物性DHAもありますが製品が少ないです。
DHAとEPAサプリメントの選び方1:DHAとEPAの含有量
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、18歳〜49歳の成人男女の一日オメガ3脂肪酸の摂取目安は1.6~2.2gだから、魚油製品やDHAとEPAサプリメントを選ぶ際には、オメガ3脂肪酸の含有量に注目し、さらにDHAとEPAの含有量を確認することが重要です。
DHAとEPAサプリメントの選び方2:DHAとEPAの「濃度」
「濃度」はある物に指定の物質や成分の割合です。「オメガ3脂肪酸の濃度」とは、1粒のDHAとEPAサプリメントに原材料であるフィッシュオイルに含まれるオメガ3脂肪酸の割合です。
同じ重さのフィッシュオイルでも、濃度が高いフィッシュオイルが含まれるオメガ3脂肪酸は多いです。DHAとEPAの濃度も同じ通りです。
DHAとEPAの濃度が高いほど、1粒の魚油やDHAとEPAサプリメントに含まれるDHAとEPAの割合が高いし、有効成分の量も増えます。代わりにDHAとEPA以外の成分と余計な油の量が減ります。
したがって、DHAとEPAの濃度が低いサプリメントを摂っても、十分なDHAとEPAが撮れないし、逆に余計な油と成分を撮り、お体に負担にかかる可能性がありますでしょう。
DHAとEPAサプリメントの選び方3:汚染物質の有無
魚油には二つの種類の汚染物質があります。
第一類は残留性有機汚染物質(Persistent Organic Compounds, POPs)であり、その中でもダイオキシン(Dioxins)およびダイオキシン類(dioxin-like substances)がよく知られています。この種類の汚染物は、世界保健機関(WHO)がまとめた世界の化学的環境汚染物のトップ10に含まれています。
POPsには、ポリ塩化ビフェニル(Polychlorinated biphenyls, PCBs)、ダイオキシン(Dioxins)、フラン(Furan)などが含まれており、これらは海洋性食品によく見られます。
第二類は重金属に含まれる水銀(Mercury)、鉛(Lead)、総ヒ素(Total Arsenic)、およびカドミウム(Cadmium)です。これらもまた、世界保健機関によって世界の環境化学汚染物のトップ10に分類されています。水銀は神経系や免疫系に影響を与え、子供の認知機能にも影響を与えます。
鉛も同様に神経系に影響を与え、造血、心血管、および消化器系の機能を干渉します。無機ヒ素は皮膚に関連した病変を引き起こしやすいです。カドミウム中毒は腎臓や骨に損傷を与えるだけでなく、1級発がん物質としても確認されています。
POPsや重金属などの汚染物質は、いくつかの特性を共有しています。例えば、光や熱に対して安定しており、半減期が長く、生物蓄積によって食物連鎖の頂点生物に極めて大きな危害をもたらします。
魚由来のDHAとEPAサプリメントを選ぶ際に、汚染物質の検査報告をチェックしましょう。
DHAとEPAサプリメントの選び方4:酸化
最後に注意すべきなのはフィッシュオイルの新鮮さです。フィッシュオイルの新鮮さは主に酸化の程度によって測られます。フィッシュオイルが酸化する原因には、光、熱、酸素、金属イオン、水分活性、および抗酸化物質の含有量などです。
さらに、油脂自体の性質もその安定性に影響を与える重要な要因の一つです。不飽和脂肪酸は、飽和脂肪よりも安定性が低く、保存が難しいという特性があります。
魚油に含まれるオメガ3脂肪酸も不飽和脂肪に属し、その新鮮さを維持するには技術が必要です。適切な量の抗酸化物質であるビタミンEの添加や特許取得の酸素除去方法などが、魚油の新鮮さを保つのに役立ちます。
油脂が酸化する過程では、初期生成物である過酸化物(peroxides)や揮発性のアルデヒド(aldehydes)、ケトン(ketones)などの二次生成物が検出されることがあります。
油脂の安定性の指標1.過酸化物価(Peroxide value,PV)
油脂の酸化初期生成物の指標であり、値が低いほど油脂の酸化が軽微であることを示します。しかし、油脂の新鮮さを評価する際には他の指標と併せて考える必要があります。
油脂の安定性の指標2.アニシジン価(Anisidine Value,AnV)
油脂の酸化の二次生成物の指標であり、値が低いほど油脂の酸化が軽微であることを示します。
油脂の安定性の指標3.全酸化値(Total Oxidation,Totox)
AnV + 2PV によって計算される値であり、この数値は油脂全体の酸化状態を評価します。
油脂の安定性の指標4.酸価(Acid value,AV)
製品の遊離脂肪酸の含有量を代表し、AV 値が高いほど、魚油製品が酸化または水解分解する可能性が高まることを示します。
フィッシュオイルに関連する国際的な組織、例えばGlobal Organization for EPA and DHA Omega 3 (GOED)、IFOS (International Fish Oil Standards)などは、魚油中の汚染物(主要なPOPsと重金属)および新鮮度の指標(酸化度PV、AnV、Totoxなど)に対して上限値を設定しています。
表:異なる国際組織による、魚油中の有機汚染物、重金属、および酸化度の上限値の比較
国際組織 |
IFOS |
GOED |
残留性有機汚染物質 POPs の上限値 |
||
ポリ塩化ビフェニル PCBs |
< 45 ppb |
< 90 ppb |
ダイオキシン(Dioxins)、フラン(Furans) |
< 1 ppt |
<1.75 ppt |
ダイオキシン類(Dioxins-like PCB) |
< 1.5 ppt |
<3 ppt |
重金属の上限値 |
||
水銀(Mercury) |
< 0.1 ppm |
< 0.1 ppm |
鉛(Lead) |
< 0.1 ppm |
< 0.05 ppm |
総ヒ素(Total Arsenic) |
< 0.1 ppm |
< 0.1 ppm |
カドミウム(Cadmium) |
< 0.1 ppm |
< 0.1 ppm |
酸化度の上限値 |
||
酸価(Acid value,AV) |
< 3.0 mg KOH/g |
未設定 |
過酸化物価(Peroxide value,PV) |
< 5 mEq/kg |
< 5 mEq/kg |
アニシジン価(Anisidine Value,AnV) |
< 20 |
< 20 |
全酸化値(Total Oxidation,Totox) |
<19.5 |
<26 |
表によると、IFOSの基準を満たす条件は厳しいです。評価は魚油の効果、清潔度、安全性、安定性、重金属の含有量などに基づいて行われ、最高のランクは5つ星を獲得できます。
まとめ
オメガ3脂肪酸、DHAとEPAの含有量は、DHAとEPAサプリメントや魚油製品を選ぶ際にチェックしやすいことです。ただし、含有量だけで選ぶのはサプリメントの安全性が不足しているかもしれません。DHAとEPAサプリメントを選ぶ際には、有効成分の含有量と濃度だけでなく、汚染物や新鮮度など、より多くの点に注意する必要があります。
皆さんがDHAとEPAサプリメントを選ぶ際には、安心して購入し、安心して摂取できるように、様々な観点で考えていただきたいと思います。