十分に休んでいるはずなのに、なかなか疲れがとれずに悩んでいる方もいるのではないでしょうか。現代社会において、慢性的な疲労感は大きな課題といえるでしょう。実際に、日本人の約40%の方は、慢性疲労に悩んでいるという報告もあります(1)。その背景には、生活習慣の乱れや精神的なストレスなど、さまざまなものが考えられます。疲労感をやわらげるためには、原因にあわせて適切な対策をとることが重要です。
この記事では、疲労の原因や回復するための方法についてご紹介します。どのような方法があるのかを知ることで、疲れを感じにくい身体作りができるでしょう。
「疲労」とは?
疲労とは、身体と心に重要な警告を伝えるための生理現象の1つです(2)。疲労を感じることで、わたしたちは心身のストレスを感じるようになり、回復に努められるのです。たとえば、長時間のデスクワークや激しい運動の後に感じる身体の重さや集中力の低下は、典型的な疲労の症状といえます。
過度の疲労が続くと心身の不調につながり、さまざまな悪影響をきたす恐れがあります。健康を維持するためには疲労を自覚しつつ、適切に管理することが重要です。このように、疲労は心身の異常を知らせるための重要な役割を果たしているといえます。
疲れがとれない原因
日々の生活でなかなか疲れがとれず、慢性的に心身が疲労している方も多いでしょう。ここでは、疲れがとれない原因について解説します。
生活習慣の乱れ
生活習慣の乱れは、疲れがとれない原因の1つといえるでしょう。具体的には睡眠の質と量の低下、生活リズムの乱れなどがあげられます。まず、慢性的な睡眠不足は「睡眠負債」として蓄積され、身体の疲労が残りやすくなります。それ以外にも、以下のような不調をきたす恐れもあるでしょう。
-
日中の眠気の増加
-
意欲の低下
-
記憶力の低下
-
メンタルの低下
-
体調不良
また、不規則な生活を送ると体内時計が乱れて、疲労をはじめとした身体の不調をきたす可能性があります。睡眠不足をはじめとした生活習慣の乱れは糖尿病や脳卒中などの「生活習慣病」を引き起こす場合もあるので、十分に注意する必要があります(3)。
精神的ストレス
精神的ストレスも、疲労回復を妨げる大きな要因の1つです。現代社会では、以下のようなさまざまなストレス源に囲まれています。
-
仕事
-
人間関係
-
経済的不安
これらのストレスが長期間続くと心身がうまく休まらず、慢性的な疲労につながる可能性があります。また、精神的ストレスが続くと、以下のような症状が現れることも珍しくありません(4)。
-
集中力の低下
-
イライラ
-
頭痛
-
肩こり
-
食欲不振
-
不眠
ストレスによって睡眠の質が低下すると、十分な休息がとれず、疲労がさらにたまる悪循環に陥ってしまいます。
栄養バランスの乱れ
栄養バランスの乱れも、疲労回復を遅らせるきっかけとなります。バランスのとれた食事は、単にエネルギーを補給するだけでなく、身体のさまざまな機能を正常に保つために不可欠だからです。そのため、栄養素が不足すると身体に大きな影響をおよぼす恐れがあります(5)。
たとえば、たんぱく質が不足すると筋肉の回復が遅れて、疲れやすくなる可能性があります。栄養バランスの偏りは疲労だけでなく、肥満や糖尿病などの生活習慣病の発症リスクにもなるのです。このように、普段から偏った食事をしがちな方は、栄養バランスの乱れが原因かもしれません。
7つの疲労回復の方法!
疲労回復が期待できる方法として、以下の7つがあげられます。
-
生活リズムの改善
-
十分な睡眠時間の確保
-
栄養バランスの改善
-
定期的な運動
-
入浴
-
ストレス解消法の獲得
-
デジタルデトックス
1.生活リズムの改善
1つ目が、生活リズムの改善です。規則正しい生活を心がけることで体内時計が正常となり、体調が整いやすくなります。生活リズムを心がけるには、起床時間と就寝時間をなるべく一定にすることを心がけましょう。
また、食事の時間を規則的にすることも重要です。3食を決まった時間にとることで、必要な栄養やエネルギーを補給できます(6)。このような工夫を続けることで生活習慣が自然に整い、疲労回復につながるでしょう。
2.十分な睡眠時間の確保
2つ目が、十分な睡眠時間の確保です。心身にたまった疲労を解消するためには、ある程度の睡眠時間を確保することが重要です。厚生労働省によると、成人の適正睡眠時間は、おおよそ6〜8時間とされています。一方で、睡眠時間が6時間未満になると、生活習慣病やうつ病のリスクが高まる恐れがあります(7)。
また、休日に睡眠時間を取り戻そうとして「寝だめ」をするのはおすすめできません。寝だめは生活リズムを乱す原因となるだけでなく、生活習慣病やうつ病の発症リスクが高まる可能性があります。そのため、毎日しっかりと睡眠時間を確保することが重要です。睡眠の質を向上させるためには、以下の点を心がけましょう。
3.栄養バランスの改善
3つ目が、栄養バランスの改善です。バランスのよい食事をとることで、身体に必要な栄養素が適切に補給され、疲労回復につながります。具体的には、以下の点に注意して食事をとりましょう。
-
主食・主菜・副菜をバランスよく摂取する
-
たんぱく質・炭水化物・脂質をバランスよくとる
-
ビタミンやミネラルを十分に摂取する
適切なエネルギー量を摂取することも重要です。必要エネルギー量は、その方の年齢や活動量などによって変動します。例として、成人の1日の必要エネルギー量の目安は以下のとおりです(8)。
-
男性:2,600〜2,700kcal/日
-
女性:1,950〜2,050kcal/日
このように、栄養バランスを整えつつ適切なエネルギーを摂取することで、より効果的な疲労回復が期待できるでしょう。
4.定期的な運動
4つ目が、定期的な運動です。運動の代表的な筋トレや有酸素運動には、以下のような効果が期待できます。
-
筋トレ:筋力の向上
-
有酸素運動:心肺機能の向上(体力の向上)
このような運動によって筋力や体力をつけることで、疲労しにくい身体を作れるでしょう。筋トレや有酸素運動を行う際は、以下のような頻度が目安です(9)。
-
筋トレ:週に2〜3回、1種目につき10〜15回×1〜3セット
-
有酸素運動:1回20分以上、週に60分以上
まずは自分の体力や疲労の程度にあわせて、無理のない範囲で運動を取り入れましょう。
5.入浴
5つ目が、入浴することです。入浴の温熱効果によって、おもに以下のような作用が期待できます。
-
筋肉の緊張緩和
-
リラックス効果
-
睡眠の質の向上
これらの作用によって、疲労回復につながるのです。おすすめの入浴方法としては、就寝2〜3時間前に、38〜40度のぬるめのお湯に20分程度浸かることです(6)。熱すぎるお湯は逆に身体に負担をかけてしまうので、温度は高すぎないように注意しましょう。
半身浴も効果的です。腹部までお湯に浸かり、30分程度ゆっくりと汗をかくことで、快眠効果を高めやすくなります。
6.ストレス解消法の獲得
6つ目は、ストレス解消法を身につけておくことです。自分にあった解消法を見つけることで、ストレスによる心身の疲労軽減につながります(10)。ストレス解消法としては、おもに以下があげられます。
-
熱中できる趣味を持つ
-
友人と会話をする
-
瞑想やヨガを行う
-
旅行をする
このように、自分にとってリフレッシュできる方法を探してみましょう。またストレスの原因を特定し、可能な範囲で取り除くことも大切です。そのためには仕事や人間関係など、ストレスの要因を分析し、改善できるところから対策してみましょう。さまざまな方法を試してみて、自分にとってもっとも効果的なストレス解消法を獲得しましょう。
7.デジタルデトックス
7つ目は、デジタルデトックスをすることです。デジタルデトックスとは、普段使っているスマートフォンやパソコンなどのデジタル機器から一定期間離れる取り組みのことです。現代社会ではデジタル機器に囲まれた生活を送っており、そこからストレスを受ける機会も少なくありません。
実際に、デジタル機器に依存する方や、生活に支障をきたしている方も多くいるとされています(11)。デジタルデトックスによって機器から離れることで、心身のリフレッシュが期待できます。具体的な方法としては、以下のとおりです。
-
就寝前の1時間はスマートフォンを使用しない
-
休日にSNSを見ない
-
家族や友人と過ごす際はデジタル機器を使わない
-
自然のなかでゆっくり過ごす時間を作る
デジタルデトックスは、はじめは難しく感じるかもしれません。しかし、少しずつ実践することでデジタル機器に頼りすぎない生活を送り、結果として疲労回復につながるのです。
疲労回復の方法を日常に取り入れよう
現代社会で疲れがとれない原因は、生活習慣の乱れや精神的ストレスなど、さまざまなものが考えられます。疲労感をやわらげるには、生活習慣の改善や適切な栄養摂取などを心がけることが重要です。
今回紹介した方法を日常生活に取り入れ、自分にあった疲労回復法を見つけてみましょう。ただし、長期間疲れがとれない場合は、なにかしらの病気の可能性もあるため、医師の診察を受けることをおすすめします。